カタンカタン

 特に寒く感じる夕方のことだった。踏切に立って、電車が通り過ぎるのを待っていた。すぐ前には、自転車とお母さんと小さな男の子がいる。

 カタンカタンと丁寧に何かを語りかけるような音を立てながら、列車が行った後、私たちはおっかなびっくり踏切を渡った。

 子どもは荷台に乗って、母親は自転車を押して歩く。私もその横を同じ速さで歩いている。気になったのか、彼がちらりと僕を見た。可愛らしい頬。真っ赤だ。ニッコリ。

 並んで歩くことも、追い越すのも、決まりが悪いような気がした。ポケットの中のイヤホンと、ケータイとを探した。後ろを行きながら、静かな音楽でも聴くことにしよう。

 このような姿をいつも微笑ましく思うのだけれど、大事な宝物を乗せているのだから、彼女には緊張もあるだろう。辺りのたたずまいが狭苦しく見える。

 粉雪が降りてきた。しだいに通りが広くなった。母は自転車に、さあっと乗った。彼は指を冬空に向けて言った。「行けー」。

 私を置き去りして、さっそうと漕いでゆく。勢いよく住宅街を抜ける二つの影。しっかりと目の前の背中にしがみつく息子。いいなあ。福島の母と子よ。行けー。進めー。