こうだよなあ

 別れ方がどうしても苦手である。握手などをしてきちんと別れて歩いても、大体は振り向く。相手の方もそれに気づいて振り返る。

 すかさず、お辞儀をする。すると相手の方も。ここで本当にお別れとなる。と思いきや、また振り向いてみる。そして相手の方も。 

 しかし主に都会の方に多い傾向にあるのだが、背中へと向けた私の執拗な視線をさっそうとかわして、あっさりと行ってしまう。行きかう人の流れで生きる術を知っている。切り替えが早い。これが本当だ。一度、お別れしているのだから。

 しかし、このしつこい私の視線に気づいてほしいとも思う。例えば遠くまで離れて、私のテレパシーに気づいてこちらをふり向いた時、私たちは大きく手を振り合うことになる。今生の別れでもあるまいに。だけどここに、互いの親しさがにじみ出る瞬間がある。

 東京駅の東北新幹線の改札口で時間があった。私は観察をしてみた。みな別れ方が上手いのだ。三人の親子。娘はここに、父と母は東北へと帰る様子。

 改札を抜けて三人は手を振り合う。姿が人混みに紛れても。両親はエスカレーターに乗り、ホームへ。二人の姿が見えなくなった。手が残った。やはり、こうだよなあ。うん。