堂々と

 本宮駅から下りの電車へ。十一月も後半。コートを着て列車が来るのを待つ。午後六時半。澄み渡る夜空。

 車内に乗り込むとあたたかくてほっとする。座り込んで早速、買ったばかりの本を読もうとする。向こう側の姿が目に入る。おっと気づく。あの子だ。

 真剣なまなざし。可愛らしいほっぺたに触って考え事している。きりりとした目をしている。お洒落な眼鏡をかけている。いつもランドセルを膝の上に乗せて、机の代わりにして、勉強している。

 下を向いている時はもはや大人の様な顔であり、電車の揺れにふと顔をあげると、とてもあどけない表情になる。もうすぐ少年になる時分だ。

 たまたま彼の隣に大学生たちが並んでいる。スマホを眺めたり、ポータブルゲームに夢中になっていたりする。その真ん中でかりかりとペンだけが動いている。学生諸君よ、彼を見習いたまえ。心の中で呟く。ウム、大人も頑張ろう。

  土曜日の夜には、見たいテレビを我慢して塾へと通ったものだった。帰りに父と母が車で迎えに来てくれた。誇らしい気持ちで、車に向かって走っていった自分が懐かしい。彼は福島の手前の駅で降りた。堂々と背負って、しっかり歩いて。