リュックと帽子

 土曜日。仕事の合間におそばを食べていた。川を見渡すことのできる、大きな食堂。地元で有名なお店。

 小さな男の子がふとやってきた。私をじっと見つめる。にこっとしてみる。ニッコリ。

 すぐにいなくなった。味わいつつ箸を動かしていると、青いリュックを背負ってやってきた。いいね。すると近寄ってきた。「すみません」とお母さんがやってきた。いなくなってしまった。

 今度はヨーヨーを持って現れた。上手だね。目の前までとことこ歩いて来て、何度もやってみせてくれた。

 お母さんがまた慌てて迎えに来た。そのまま追いかけごっこをしようとして喜んで店の奥の廊下へと駆けていく。二人ともいなくなった。そば湯が来た。

 今度は野球帽を被って登場。私は腕時計を外して食事をするクセがある。「どうしてはずしているの」「おかしいなあ」。鋭い指摘である。おかしいねえ。二人で笑っていると、またお母さんが走ってきた。「すみませんねえ」。いえいえ。 

 ゆっくりとご馳走になった。そのままお店も休憩時間へ。駐車場で車に乗ろうとすると阿武隈川がきらめく。 

青空。手をつないで、川原を散歩しているお母さんと彼の影。リュックと帽子。