紅葉の街で
枝からこぼれおちた絵の具たち。そちらこちらの落ち葉。見慣れた通りなのに色とりどりの装いが新鮮である。季節の足あとを象徴している。夕焼け。
福島駅の西口から真っ直ぐに歩く。吾妻の山影へと向かう街路樹。なかなか良い絵になっている。大きな木の隣にたたずむ。
校庭のイチョウの木が夕日を受けて燃え盛るように茂って、息を呑むようにして見あげた、小学生の時分の記憶が過ぎった。あの頃から紅葉に惹かれてきたのかもしれない。
家に戻る。楽しい気持ちが続く。明日は久しぶりの休日。目が覚めたら、デジカメをポケットに入れて、反対に駅をめがけて歩いてみよう。今度は夕日ではなく朝日を目指して。早朝の駅でコーヒーなど飲むのもいい。
明るくなるのを待ってテンポ良く歩いてみる。町の方々が早起きして、ホーキやトングを動かして清掃活動をしていた。日に照らされた熱心な人影。
赤や黄の葉がたっぷりと詰めこまれた透明な袋が、次々と積みあげられていく。掃き清められた感じが、実に爽やかである。
夕景から一転。顔を洗ったばかりのような駅前の表情。自然も人間も手を止めてはいないのだ。清新な風が吹いた。葉がそよぐ。