少年

 眠い目をこすりながら、妻の運転で駅まで車で送られていく。

 朝の6時半頃に福島駅の西口の、ある陸橋付近にさしかかると、必ず私たちの話題になる男子がいる。

 中学校二年生ぐらいだと思うのだが、きちんと制服を着て、ヘルメットを被り、真っ直ぐ前を向いて自転車を熱心に漕いでいる。

 駅を越えていくのだ。その姿を見ると、今日もがんばろうと思う。いつしか二人の間で「少年」と親しく呼ぶようになった。

 それにしても少年は、こんなに朝早く、いつも何をしに行くのだろう。部活動なのだろうか、あるいは朝の係の活動だろうか。どうしても教師の性分から、親しく話しかけてみたくなる。突然は驚かれてしまうだろう。しかしせめて何を頑張っているのか、聞いてみたい。

 夕暮れ。西に向かって帰っていく姿を偶然に発見した。やっぱり真面目に自転車に乗っている。いよいよ尋ねてみようと思ったのだが、止めにしておいた。彼の影は颯爽と街を横切っていく。

 私と君には共通点がある。福島生まれ(カナ?)、福島育ち。

 朝は明るくなり始めた東の空を眺めて家を出て、夕方は赤く染まった吾妻連峰を見つめてうなずく。共に毎日を生きているのだ。