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詩ト詩ト
詩ト詩ト
肉体の内部で城の門が倒れていて 暗くなった地球の反対側を想う 空に名前を奪われたまま 虹色の空き缶が倒れて 黒い羽根が 突き刺さっているから やはり来たのだと分かる
9月24日(土)20:00~ 「詩ト詩ト語ル/夜ノ図書館デ詩ノ灯リヲサガソウ」 閉館後ノ山形ノ夜ノ図書館ニテ記ス 了
話がしたくて 野を行く風のなか 電話のベルが鳴っています 光のつぶやきが おいかけて おいかけてきます
朝だ あの光る雲には 風の家がある 夜明けの木を あなたに贈ります それはまだ暗いうちから 空が明るくなることを 待ち続けて 鳥が渡ることを 見あげて 風にあなたの 安らかな眠りを訪ねて
言葉にならないものがあるから 言葉がほしい 手をにぎろう たしかな言葉があるから 言葉にならないものが うまれる それが わたしたちに 朝の沈黙をあたえます だから 祈ります 未明の空を渡る 四十数匹の 鳥たちに わたしたちは やさしく ささやきます 光に
絶対的質問の闇 答えられないから わたしたちは 闇のただなかで 光に憧れるしかない 今はじっと耐える この暗い夜の意味に 何かが変わる そんな時が きっとやってくる 東の空へと 指を 手を のばしたいのだ
言葉にならないものがあるから 言葉がほしい 手をにぎろう たしかな言葉があるから 言葉にならないものが うまれていく
わたしたちは 闇の底で もはや わたしたちに質問する なぜ生きる 何を信ずる 何を悲しむ 何を求める 何を愛する 問い続ける その言葉も 「問い」からこぼれ落ちていく 絶対的質問の闇 その恐怖
閉館した 夜の図書館にて 空白の書物が 書棚に整列している 想像してみたまえ 言葉にならないものばかりが 書物にはさまれている このときを 書架の闇 床を這うのは黒い夜
書物の棚の前に 立ってみたまえ それぞれの空白を それぞれの頁に挟みこみ 美しく整然と並ぶ あらゆる無 書物という故郷を喪ったまま それでも文字は 床を這い 呼吸する ほら 忌まわしい執念の吐息が 闇の中に聞こえるはず
言葉にならないものの闇は深い もはや書物の文字は すべて虚偽なのだ 一冊ずつ 手にとってみたまえ どの本も どの本も たったいま どの頁も 空白となっているだろう
手は手を失ったままわたしたちの手元に 指は指を失ったままわたしたちの指先に
夜の図書館という 書物の迷宮の闇にて 果てしなく どこまでも 暗い 井戸のような黒色の深さに まぎれて 本を掴もうとする その「手」は 手を失ったまま わたしたちの手元にある
あなたは ほんとうのあなたではない だって あなたは あなたよりも あなたなのです
暗闇のわたしたちに 去来するもの 「悲しみ」からこぼれ落ちる悲しみ 「孤独」からこぼれ落ちる孤独 「怒り」からこぼれ落ちる怒り 「愛」からこぼれ落ちる愛 「指」からこぼれ落ちる指 そこからこぼれ落ちるわたし 震えながら 手をつなごう
閉館した 夜の図書館にて わたしたちは 暗闇を手探りするしかあるまい 夜の底は果てしない 手が指が獣のように求めるのは 「手」「指」 からこぼれ落ちるもの 本を借りたいのです 虹色のハードカバーの一冊をお願いいたします 返却はできないかもしれません
手を「手」と名付けようとした誰かが手と指で「手」という文字を紙に記したとき「手」は手となり得たのだろうか 手は「手」とそれを行き来しもはやただ開かれるしかなかったのだろうか このとき「手」から逃げていった手をてのひらに夢想し拳を握ってみるのだ 暗い闇にて
夜よ 闇よ 震わそうとするのであれば 伝わらない苦しさこそを わたしたちは 閉館した図書館で それでも 震えながら 共にここに 在ろうとする この 隣り合う確かさこそを
ああ 「闇」 最初に そう名付けた人は 誰なのですか 教えてほしい なぜ「夜」なのですか なぜ「闇」なのですか わたしたちは 震えるしかないのですか
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