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あの日 見つからなかった白球はゆっくりと水面を流れてようやくたどりつくのだ 口に出せなかったあの言葉に
どこかに拍手のやまないそら恐ろしい川がある
水が水へ伝えたいことがあるから声が声とつながっていき言葉が言葉を結んでいくささやくような秋の川に振り向いたことがあるだろう
川面に花びらが流れていて雲がそれを追いかけていて釣り竿がしなりその先で果てしのない想像を釣り上げてしまったことがあるだろう ひっかかった針が上手く外れて良かった
吊り橋を渡ることで はっきりと目覚めてくる 意識のなかの深い山間が誰にでもあるだろう
「川」 と 一つの文字を書き記すだけで 近づいてくる岸辺が誰にでもあるだろう
川は 流れながら 流されているのだ 川に
シカク 了 おやすみなさい
ひとかけらのパンを 空のふもとへと運ぶ 背中に羽根のある優しい影が かなたに 少しだけ見えたと思って 目を凝らしてみると 谷間を行くカモシカの姿 想像で空腹は満たされないが 天使と見まちがうことはできるかもしれない
ふっと うなじのあたりに 静かな息がかかった気がして 振り向くと 雲の切れ間 晴れた 道がゆっくりと渇いていく 新しい旅が始まるみたいで それを眺めるのが好きだ
静かな音楽が 耳に残っている朝は 優しいこの星の心が 伝わってくる ああ 公転している
風の密告
果てしのない想像は 夢を横転させることに成功したから 川はいつも誰にも密告せずに水を流しつづけている
虹をつかむことが出来たという男は静かに叫んだまま水蒸気船に飛び乗り水を湛える川を岸辺から引きはがして直立に立たせて不動の滝にしてみせたから水しぶきの向こうに小さな虹がああこれも水蒸気の力なのだろうか
果てしのない想像は 川と約束している
果てしのない想像は 川と約束している あらゆる光を 水面に映し出しながら 想像だけを漂わせて 水は夜更けに 人見知りをするかのように 白くなっていくことを
果てしのない想像を 地図を広げながら遊ばせているうちに そこは陸地となり 森林となり 川となり そのうえで わが想いは ただの白いうろこ雲となり
捕虫網のような一日
果てしのない想像から わたしたちは逃げることなど出来ない それに飲み込まれるままに 青い空から吐き出されている 白い鳩 それがやがて 軽石のような 卵を産む
果てしのない想像は おおきなうねりを どうしようも できないまま 岸辺から 岸辺へ 漫々と 急いで ゆったりと 激しく 渡っていく
夢を見たことがないという夢
果てしのない想像が 何かを流し続けたままで 頭のなかを水しぶきで いっぱいにしている このときだ 誰もが 川に捕らわれている
詩ト詩トシカク 9/28
本日 9/28 毎日新聞 朝刊にて (東京 昨日夕刊)
毎日新聞連載の詩の時評です。山形ビエンナーレ、小松弘愛氏、河口夏美氏の新詩集について、書かせていただきました。/詩の橋を渡って:非日常の発見と目覚め=和合亮一(詩人) – 毎日新聞
詩の橋を渡って:非日常の発見と目覚め=和合亮一(詩人) – 毎日新聞
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