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わたしは 鳥の姿が消えてしまった鳥かごです 小さな翼と足があった時は わたしも 空の広がりを一緒に思っていたのに 鳴き声が聞こえてくることがあります せわしなく動き回る気配や 息遣いが はっと 目覚めて 鳥かごは 無人の部屋に 無暗に吊るされています
わたしは 鳥の姿が消えてしまった鳥かごです 今まで 感じたことなどなかったのに 見えない何かが行ったり来たりを 繰り返しています わたしは がらんどうだったことに気づきました 一個のカゴでしかなかったことに
わたしは 鳥の姿が消えてしまった鳥かごです いつもせわしなく 小さな彼は飛び回り 羽を動かして 跳ね回って しかし ある日 突然に 震えながら死んでしまったのです 彼の姿が 消えてしまった時 急に 風が吹き始めました
私はぼんやりとたたずむ電信柱です 私はいつまでも立ち続けるしかありません いつの季節も 電線は風に吹かれているばかり あなたの孤独な風景の中に 必ずあるはずです 夜に目を閉じて そのまま 立っている柱が
私はぼんやりとたたずむ電信柱です 雨の日には ずっとそれに打たれます 傘をさして ようやく人が通ります でもまた 姿はなくなります 強く降ってきて 寂しさは すっかりと洗われていきました
私はぼんやりとたたずむ電信柱です 人の気配のない 道の脇に沿って 少し 下を向いていてる気持ちで立っています 電線が 私をこの世界とをつなげてくれています