鳥よ 胸に飛んでこい

あなたには かけがえのない名前が
ありますか たくさんの仲間と
肩を抱き合うとき 大切な方に しっかりと思いを
告げるとき 手紙の後に 静かに
書き添えるとき そんな名がありますか

あなたは どんな鳥を追いかけて
生きてきましたか どんな名を
抱きしめて 震えながら 吹きすさんだ嵐の中を
歩いて来ましたか 今 父と
母に 子どもたちに 伝えたいことは 何ですか

山影を 森と林の間の小道を そして
潮風にきらめく美しい帆を さえずりを
日暮れの笑い声を 交わした約束を
終わらない 四季の祭りを 守りたい

そして 語り合うことを止めた時
ふっと押し黙り 目頭が熱くなってくるね
私たちに訪れる 語ることのできないもの
涙を拭いて こうして見つめ合っていると

言葉なんかいらないのかもしれない

このときだ ほら はばたきを聞いているのだ
新しい季節の息吹を 山 河 海 空 雲 風よ
鳥よ 胸に飛んでこい そして
胸の中を飛ぶのだ 胸の中を飛ぶのだ
私たちは「福島」の名を呼ぶ

「福島」の名を呼ぶのだ