あなたには かけがえのない名前が
ありますか たくさんの仲間と
肩を抱き合うとき 大切な方に しっかりと思いを
告げるとき 手紙の後に 静かに
書き添えるとき そんな名がありますか

あなたは どんな鳥を追いかけて 
生きてきましたか どんな名を
抱きしめて 震えながら 吹きすさんだ嵐の中を
歩いて来ましたか 今 父と 
母に 子どもたちに 伝えたいことは 何ですか

 山影を 森と林の間の小道を そして
 潮風にきらめく美しい帆を さえずりを
 日暮れの笑い声を 交わした約束を 
 終わらない 四季の祭りを 守りたい

 そして 語り合うことを止めた時
 ふっと押し黙り 目頭が熱くなってくるね 
 私たちに訪れる 語ることのできないもの 
 涙を拭いて こうして見つめ合っていると 

 言葉なんかいらないのかもしれない

 …

このときだ ほら はばたきを聞いているのだ
新しい季節の息吹を 山 河 海 空 雲 風よ 
鳥よ 胸に飛んでこい そして 
胸の中を飛ぶのだ 胸の中を飛ぶのだ 
私たちは「福島」の名を呼ぶ 

「福島」の名を呼ぶのだ 

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2012.08.10更新