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宛先のない 手紙を巣の真ん中にとらえて 風に晒している
生涯の深い底から 手という言辞の与えられない手が 無数にたちあがり
白い封筒をとらえようと 指を伸ばす
それを静かに眺める 薔薇の藪
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2016.09.22更新
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> 宛先のない 手紙を巣の真ん中にとらえて 風に晒している 生涯の深い底から 手という言辞の与えられない手が 無数にたちあがり 白い封筒をとらえようと 指を伸ばす それを静かに眺める 薔薇の藪
静かに息をしながら樹木は髪を逆立たせて人になる 黒い羽根が落ちているから ここにも来たのだと分かった
何の翻訳もされていない風が陸橋を歩くから 紫色の手押し車で眠る河が 静かに脱輪していくのが分かる あなたを想っている 髪が流れる