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詩ト詩ト コスモス
おやすみなさい
地図を広げているとコップを倒してしまって炭酸水が広がっていってしまった 稲妻 雲の間で旅客機の窓から下北半島の全体が地図を眺めるように鮮やかに見えたことが不意に浮かんだ
詩ト詩ト シカク 了
静かに 草がなぎ倒されているから 近づいてきたのが分かる 急に振り向くことは危険だ 背中へと接近してくる獣は 爪と牙と目を剥いている 逃げれば さらなる勢いで追いかけてくる どうすればいいのか 絶体絶命である これこそは獣ではない 日常に潜む時間の本当の姿である
線路沿いに何億ものサボテンが並ぶその間を枕木とレールをたどりながら一枚の紅葉が運転士の消えた貨物列車に運ばれていくのが分かるから電車の音を遠くに聞きながら俺は足の親指の爪を切り損ねたのだ
緑色の長椅子に座ると 肉体の中から芽生えるものがあり 思わず立ち上がると その椅子の下から植物たちの影が わたしにのしかかってくるから 叫び声をあげると 否 これらはわたしの影 わたしは長いあいだ 人間のふりをして座っていただけにすぎなかった その瞬間にも 黒い猫は眠っている
背中で雪原に立ち尽くす凍った樹木の影が次々に倒れてゆくから俺はけたたましい零度のざわめく静寂を背負いながら眼帯の中でうごめく蛾の青空の記憶に目をつむるより他に方法はないのだ だから俺はあらゆる季節の双子から投石されるのだ 春が夏を殴り殺した翌日の朝に
その指先は明日の朝には 触れてはいけない虹色の光をかき乱して帆船が運ぶ夢の色彩を奪ってしまうから 握りしめて拳を振り回して叫ぶしかないのだ 思わず盗んでしまった秋の夕暮れをどうすれば返せるのか と
記憶の真ん中で 静かに脱皮している海老がある その殻を置き忘れたまま 頭脳は波打ち際で洗われていく 海鳥が何かをついばんでいるが くちばしの残酷な先が 精神を彫刻する 出来上がったものが 逃れられない おまえの悲しみというものだ
わたしはわたしという皮膚を着ている だから本当は雲の間からの光にせかされている 何度も他愛のない脱皮を繰り返すべきだ 静かにひげを動かす海老たちのように
掻き傷だらけの秋だ 爪あとにおびえているわたしたちはいつまでも皮膚の内側に閉じこもったままなのである
『たったいま八月の冥王星でたったいま八月の地球では』(改定版) 日程:2016年11月23日~27日 於:上野ストアハウス テキスト:和合亮一 構成・演出:篠本賢一 出演:藤田三三三、三田直門 他 詳細 http://www.storehouse.ne.jp/collection/detail.html …
告知 遊戯空間 11月 上野ストアハウス にて 前回 ソールドアウトとなった舞台の改訂版上演 詩集「入道雲」「廃炉詩篇」が 遊戯空間により 舞台化されます