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風はある日 しずかに止まった 庭に出て ふと見あげる はるかに 一日は過ぎた 靴の先には 秋と明日の風がある
風はある日 荒れ狂いながら私の家の窓を叩く 鉛のようになって 誰の心も寄せつけない雲も 激しく打ち続ける雨の粒と 地上に釘打つ稲妻も 落ち着くまで 台所で コーヒー豆でも 挽いているしかない
風は 窓のカーテンに顔を隠して 口ずさんでいる なつかしい調べに 耳を傾けてみる 小さな鳥の目に映る 野原が見えてくる気がした 芽吹く 新しい季節の入口が
風が 窓の前で ためらっている 窓を開けて どうぞお入り うつむいて あがりこみ 静かに語り また出かけて行った