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いま 所沢に向かっております 西武池袋線急行 春が急いでおります
こころにきしみがあるのなら なにかはなそうよ ことばのきしみをわかちあって
わたしは 夜明け前に 雲になり 風になり 花粉を 運んでいます 花たちが 季節が 手を広げて 待っているから あなたの目や鼻に 痛みやかゆみを起こして しまわないように そっと 手から手へ 渡していきたいのです なかなかうまくいかなくてすみません 実は わたしも花粉症なのです 笑
燃えあがるような絵の具を心に塗りこめてさえずりながら鳥は丘のうえを飛んで行った 無人のブランコが 少しだけ揺れていて 子どもたちのはしゃぐ声が 嘘のように聞こえてきて 呆然とした春の寂しさの真ん中には 砂場に転がったままの小さなバケツとシャベルとがある 人影はない 風の影がある
燃えあがるような絵の具を心に塗りこめてさえずりながら鳥は丘のうえを飛んで行った きみは手のなかにある新しい地図を便りに 迷宮へと踏み出す 新しい街 新しいアパート 新しい暮らし 新しい故郷 生まれ育った たたずまいに 別れを告げて ポケットには 世界と約束を交わしたキーがある
僕の窓には夜空と星と木が映ったから 少しだけ開けたままで眠ることにした / あらかじめ決められた恋人たちへ feat.和合亮一「焦点」/