13 雲のまなざし
風船を 追って 裸足で
野原を どこまても 駆けていって
時には 足の裏の 草や土をはらって
また 走って いって
それを探して 裸足で
丘や道や 草原を 抜けていって
空をみあげて 背伸びをして
また 足を 踏み出していって
鹿のあしあと 雲のまなざし
鳥と光 雨 ひとつぶ
少年は 立ち止まる どうして僕は
あの日から ここにいるのだろう
雲を行く風の船 待ってくれ
きみに乗る前に お願いがあるんだ
父さんと 母さんの暮らす町に
涼しい 僕の息を吹かせて おくれ