あの丘へ

私たちはあの海辺の丘が好きだった

海のきらめきが
吹き渡る風の音が
色とりどりの漁船の旗が
港の朝焼けが

私たちはあの丘が好きだった

浜辺の岩で遊ぶ子供たちの声が
日焼けをしている男たちの背中が
灯台を目を細めて眺める人々の影が
一列に飛ぶ カモメたちの群れが

ふるさとに思いをめぐらすとき
風の音が聞こえる
潮鳴りが続いている

ことばに思いをめぐらすとき
懐かしい家が浮かぶ
母の声が響く

なかまに思いをめぐらすとき
きみの顔が見える
手のぬくもりが分かる

未来に思いをめぐらすとき
私たちはあの丘に
もう一度立ちたい

私たちはあの丘が好きだった

いつかきっと
あの丘へ行こう

いつか きっと

あの丘にたどりつく
その日まで

新しい丘で
新しい風に吹かれながら

きみと手を握り
歩き出そう

この丘から
あの丘へ

歩き出そう
この丘から

あの丘へ

空を見あげて
雲を見あげて

風と一緒に
きみと一緒に


2015年 2月15日(日) 10:05~10:53 NHK総合放送
「明日へ 未来に贈る子どもたちの紙芝居 ~ 福島双葉郡3 」番組内にて
子どもたちへ贈った詩