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ささったままの とげが抜けていない
きみの椅子が ある日 ある場所に なくなってしまっていても 気にすることはない また新しい場所に 新しい椅子を 見つけてくれば いいだけなのだ
元気が出なくたって しかたがないじゃないか 自分で 自分を 時には 欠席してしまってもいい 一日を まるごと 自分を 休んでしまって 過ごしてみても いいんじゃないだろうか
水たまりで 虹が生まれているのは あのときに きみが ふいに 深い山に眠る 鬼百合の息の長さを 数えてしまったからなのかもしれない
足もとに 遠い記憶が 濡れているのは 思い出すことの出来ない 草原の一日が にわか雨をしきりに受けているからだ
若葉が眼に染みるのなら それはきみの怒りが 青々とした空を 映しているからだ
優しさに 気がつかないまま 小さな私は ブランコに乗っている 取り戻したい 祈りながら ブランコは 前へ 後ろへ 地面を蹴って 空を見あげたまま 小さいまま 前へ 後ろへ
満員電車の中で 知り合いに 会った やがてホームにたどり着いた 降りるときに 手を振ってみたけれど その相手は 人混みの中に 埋もれて ケータイに夢中で 気がつかなくて あきらめて 僕は きっぱりと降りた 振られた手だけが いつまでも宙を舞っている ばいばい
あの日から 変わったことと 変わらないことがある ごまかしてはいけないことがある
心をとどけるということは 雲をつかむような 話なのかもしれない だって 思いは見えないものだし とどけるにしたって どうすればよいのか よく分からない だけど 浮かんでいるだろ 僕たちの 暮らしに ほら いつも