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わたしは 夜明け前に 雲になり 風になり あらゆる やさしさを 光にかえて 遊ばせたいのです すべてに ふりそそぐ宇宙の 見えない雨の その一つ一つになりたいのです 空は歌います 大地や川面や海を 静かにたたいて しずくを降らせています それは少しも見えない あなたの涙になります
わたしは 夜明け前に 雲になり 風になり 鳥になり 花になり 森になり 小川になり ほの暗い あぜ道を行く 農夫の口笛になり 清水に洗われている 米の粒の 一つ一つになり 転がる小さな石になり 草の葉に 太陽の光が 降りそそぎ そしてわたしに戻るのです 目が覚めるのです おはよう
雨降る 山手線に乗って ぼくたちの春は どこまで行くのだろうか それをぼくたちはまた 見送るしかないのだ ああ 春が急いでいるよ あなたは ほんとうは鳥 ほんとうは雲 ほんとうは雨 ほんとうは宇宙 ほんとうは 落とし物
雨降る 山手線に乗って ぼくたちの春は どこまで行くのだろうか それをぼくたちはまた 見送るしかないのだ ああ 春が急いでいるよ あなたは ほんとうは鳥 ほんとうは雲 ほんとうは雨 ほんとうは宇宙 ほんとうは 落とし物
そのようになって あなたの言葉の中には 言葉が埋まったまま 見つかるはずがない わたしの家の庭にも 土が眠っているまま ある言葉が消えてしまった いや 消してしまった ある土が消えてしまった いや 埋めてしまった
ある言葉が消えってしまったのです わたしの家の庭には 土の中に土が埋められています そして言葉の中に言葉が埋められているのかもしれません 言葉から土を掘り出すにはどうすれば良いのだろうか
ある言葉が消えってしまったのです わたしの家の庭には 土の中に土が埋められています そして言葉の中に言葉が埋められているのかもしれません 言葉から土を掘り出すにはどうすれば良いのだろうか
ある言葉が消えてしまった 中目黒が消えてしまった 新宿が消えてしまった 中野が消えてしまった 新橋が消えてしまった 九段下が消えてしまった 八王子が消えてしまった 立川が消えてしまった 水道橋が消えてしまった 花粉ばかりが飛ぶ 春が急いでいる
ある言葉が消えてしまった ああ 私たちの言葉のなかには 無人の窓がある 無人の家がある 無人の街がある 無人の交差点がある 無人の信号がある いくら 新しい言葉を投げかけても 開かない窓 人のない家 人のない道 人のない店 春が 花粉をまき散らすだけです
ある言葉が消えてしまった ああ 私たちの言葉のなかには 無人の窓がある 無人の家がある 無人の街がある 無人の交差点がある 無人の信号がある いくら 新しい言葉を投げかけても 開かない窓 人のない家 人のない道 人のない店 春が 花粉をまき散らすだけです
ある言葉が消えてしまった あなたが見つめる スマートフォンの画面では その消えた言葉たちが 思い出して欲しくて 悲しく明滅している あなたがじっと 画面を見つめているときに 明るくなったり 暗くなったり 暗い野原と夜道をさまよった時に 見つけた 一本の古ぼけた街灯のようです
幼い僕は 時々 土曜日に ある家に招かれた その家の子どもさんと一緒に 歌を歌ったり 大きな絵を眺めて お話を聞いたり 階段から見える 天窓のステンドグラスの絵を 二人で見つめたり ある日 子どもさんとその家族は引っ越してしまった 春になると空に舞っていた鮮やかな虹色を思い出した
ある言葉が消えてしまった 思い出そうとして あらゆる言葉を 思いめぐらせている だけど 消滅してしまっているのだから それとは関わりのない言葉が きみの頭の中を渦巻くだけなのだ 空虚なブレインストーミングの ただなかで はっと気づく 今日もテレビをつけっぱなしにしていることを
ある言葉が消えてしまった 電車に乗り遅れそうだから あわてて駆け込むのだ そしてそのまま 急いで列車の自動ドアを抜けて 硬い床に足音を立てるようにして 時間の比喩へと飛び込む 遠くで踏切を知らせる 警笛が鳴っている 消されてしまった言葉は どこかの座席に 飛び乗ったかもしれない
ある言葉が消えてしまった まずはその手掛かりを たずねてみなければならない 朝 起きて コーヒーを沸かして テレビを点けて 新聞を読んで いや どこにも見当たらない 森の奥の 静かに水が 張られた沼に 小石を投げてみたいのに
詩の礫
ある言葉が消えてしまった 私たちは それを取り戻さなくてはならないのだ ああ 小さな雨がやってくる 今こそ それが降り出す前に 駆けださなくてはいけないのだ 間に合わなくなってしまうから 何に 春に 涙に
精神的なストレスで あの日から 急ぐようにして 亡くなっている方が たくさんいらっしゃいます 証拠はあるのか わたしはある日 はっきりと そう問われたのです ならば答えます わたしたちは 日曜日の夜の 雨降る東京駅の 丸の内口に立って 何かを見上げていた その寂しさが 真実です
あなたには 帰るべき故郷がありますか あなたには 帰る家がありますか たくさんの動物たちの 食い散らかしたあと そしてフン さらに 盗まれたものが 多いことに気づく もう一度 帰ることを 家に戻ることをあきらめるしかないのでしょうか 日本人は
あなたには 帰るべき故郷がありますか 帰る家がありますか いざ 家に戻ってみると ネズミをはじめ たくさんの動物たちが あらゆる部屋を荒らしていて とても住める状態じゃなかった 帰ることをあきらめた そのようなお話を 聞くことが多くなった あの日から 6年が経った春です
つぶてソングのつどい リハーサル中です 出演者 総勢300人を超えるそうです 相馬からも 合唱団が参加 杉並公会堂大ホールにて〜つぶてソングのつどい リハーサル中です 出演者 総勢300人を超えるそうです 相馬からも 合唱団が参加 杉並公会堂大ホールにて〜
杉並公会堂大ホールにて つぶてソングのつどい 始まります〜
荻窪に到着いたしました これから 杉並公会堂にて つぶてソング集会に 参加してまいります 〜
乗り過ごしてしまいそうだ 慌てて降りる ああ雨の風景と傘が 列車に乗ったまま出かけていった 雨にも 傘にも 置き去りにされてしまった ぼくは荻窪の駅で 涙を流さず 泣きつづけて
傘を抱えて 列車に乗り込む それぞれが それぞれの風景を たたみこんで きれいに 並んで座る 倒れないように 倒さないように 雨の強まった空の方角を見つめて
新しい一本は いつもすらりとしていて それを 開く時は 何だかときめく さっそうと 開いて 雨粒が 騒がしくなる たから 駆け出して
いつもどこかに 忘れてしまうから 新しいビニール傘を 買ってばかり 雨が降れば 大事に握り 晴れてくれば また どこかへと 置き去りに
ある言葉が消えてしまった 中目黒が消えてしまった 新宿が消えてしまった 中野が消えてしまった 新橋が消えてしまった 九段下が消えてしまった 八王子が消えてしまった 立川が消えてしまった 水道橋が消えてしまった 花粉ばかりが飛ぶ 春が急いでいる
雨降る 山手線に乗って 春は どこまで行くのだろうか それを ぼくたちはまた 見送るしかないのだ ああ 春が急いでいる ぼくは ほんとうは鳥 ほんとうは雲 ほんとうは雨 ほんとうは宇宙 ほんとうは 落とし物
ぼくたちの孤独はどこにあるのか 言葉にしたくとも出来ない 昨日から明日へのレールの上にある ぼくたちの優しさはどこにあるのだろうか 駅の前に立ったままの自転車の影にある タクシーに乗ってぼくたちの悲しみはどこまで行くのだろうか それをぼくたちはまた見送るしかないのだ
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