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奈落の底にあるかじりかけの林檎が宇 宙であることにまだ気づかないのか 茫漠としたとしたボールペンをどうすればいいのか 昼下がりの教室に燃え盛る零度はやってくる
チャイムは顔の半分を盗もうとして変な時間を知らせているばかり タバコの空箱が体育館の裏に落ちていた その中には極小な紫色のスケート靴があるだけだった 化学室の人体模型は腹話術の先生である
あ国境に紫色の名刺が落ちているのだ さきほど お昼の放送で教えてくれたじやないか 火星の半分を背負った山羊が火傷したので保健室へ
黒板に字を書いているうちに千年が過ぎた だからプウルの水は喜びながら氾濫している
いいのか なかったことに されちまうぞ
6限目の 終わり 少年も 友だちも 風も 雲も 光も 山の 稜線も 黒板も 飛行機雲も バスケットシューズも 倒れている自転車も 昇降口も ノートも みんな 6時限目の 終わり
ある日 少年は 飛行機の模型を もう少しで 作り終えることが 出来る 最後のところで 仕上げることが 出来ないのは 青空を飛ぶ その機体の映像が 先に 少年の 部屋の窓を さっそうと 飛び出してしまっているからだ 憧れだけで 終わらせないために 最後まで 設計図を にらむ
明日 少年は 釣りに出掛けよう 新しい釣り竿を 振ってみたり 磨いてみたり それを 握っていると 休日の風と雲が 心に ぶら下がっている かかった かかった
ある日 校庭で リレーの練習 バトンパス 1回目は失敗 2回目は 惜しいところで失敗 3回目で バトンを 渡すことが できた やっぱり 神様は 居るって 分かった
5限目 少年は 英語の時間に 新しい異国語の 勉強を続ける これら アルファベットが どうして 自分の意志の 一番の 理解者に なるのか これらの英文で 暮らしている 異郷の人々は どんな 心の目覚めの中で 異なる言葉を 話すのだろう 見つめる 「A」 飛行機雲
ある日 鏡で 顔を 映してみる すると 少年の 顔が のぞきこんでいる この時に 気づく この世界には もう一人の 僕が いること
ある日 窓を開けたまま 虫の声を聞くまま 風が入り込むまま 少年は眠りに落ちた 今日の終わりに あなたの過去を眠る 優しい子どもの寝顔は あどけないままだ そっと 髪を撫でよう おやすみなさい
ある日 少年は 背が高くなった 朝になって この前の 柱の傷よりも 高くなっていることを知った また つける 宇宙が 運命が 成長していることを 知らせてくれる 増える と 嬉しい
ある日 晴れた日に 友だちと二人 いつまでも 河原で 話しを し続けた 彼は誰にも話したことのない 夢について 友も 同じ話をした 結論は こうだ 一緒に 世界を 旅しよう 胸が 熱くなって 彼らは お気に入りの トレーディングカードを 交換した
ある日 少年は 読みかけの 本を開くことを ふいに 止める これからの 猛烈な嵐と雨の音が 聞こえた気がして 書物を開くと 何億もの言葉が 吹きつけてくる そんな恐ろしさを なぜだか 知ってしまって
ある日 けんかした 友だちのことを想って 夜が更けていく 明日は きちんと 謝ることが 出来るだろうか 夜は 少しずつ 背の丈を 伸ばしている 彼も 友も 世界も 金星も
ある日 嵐がやって来る 少年は 地図を広げながら あれこれと 不安になったり 考え込んだりしている 気圧のせいなのか 胸が苦しい 彼は 青空を見上げながら 本当の 厳しさ 険しさの表情を 恐れる 嵐の前の 空の青さに 茫然とする と 靴のひもが ほどけた
ある日 友だち は どんな 友だち が 本当の 友だち なのか 分かる それは 友だち だから 分かる ことさ
ある日 少年は阿武隈川に 見とれている 水面のきらめきが この世界の あらゆる悲しみや 不安を さらって 流れていくほうへ 連れていって くれる ことを想って ずっと 見つめている 少し 声が 変わってきたような 気がするんだ 水は やってくるばかりだ
ある日 少年は 手紙を 書き終えた ばかりだ 書き記した 全てを 自分で 読み直して 空を 吹き渡る 風や はるかな 潮鳴りや 谷間の 鳥の声を 言葉 言葉との間に 聞こえた 気がして はっとした 宛名を 書こうと 思った
ある日 雨戸を歩く カマキリに見とれた 夕暮れ スマートな 顔 形 両手の刃 ぼくの心の中にも きっと この虫が居る 夜 眠る前に また 机の上に カマキリ 先の一匹とは 違うと思うけれど (同じかな) 捕まえて 網戸を開けて 逃がしてあげた 少年の心の中から はるかな季節へ
ある日 たわわな果実 少年は 果樹園の あぜ道を 慌てて 自転車で 通り過ぎようとする 小石が 軽快な 行方の 邪魔をする 実るものが 追いかけてくるような 気がして あるいは 豊かさを 追いかけるようにして 進め 二輪車 桃の甘味が 荷台に乗っている ぶどうも 梨も
ある日 3限目 サッカーボールを蹴り返して 校庭の木の前で 枝と葉に見とれて 少年はこの地球の 足音を聞くだろう 暑い日の盛り ボールを追いかける たくさんの友だちの影は この 新鮮な彼に 世界横断の 夢を抱かせる ロングパス
ある日 命を語るには 言葉が足りなくて だけど語らずにはいられなくて だけど あらためて 話すには どこから始めたら 良いのか 分からなくて それで まず きみは 友だちと 話し始めるのだ 今日が どんなに 暑い日だったのかを
現在 息子(和合大地)の部屋で ラインにて 読み合わせの練習を 熱心に している様子です 昼間に たっぷりと稽古して それでも さらに 練習 … 誠実な 若々しい 熱意を感じます ぜひ 足を お運び下さい 福島市 音楽堂にて お会いいたしましょう ~
花が 揺れている 花に 揺らされている 風が 揺らしている 風に 揺らされている 花と風が 揺れている 揺らしている 揺らされている 花に 風に 花が 風が 揺れている 揺られている 花が 花に 風に 風が