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いわき市市制施行50周年記念式典にて いわき市の合唱団のみなさんが 作詞した「夜明けから日暮れまで」を歌ってくださいました ありがとうございました いわき市のみなさん おめでとうございました
バスに乗って みちのりにはいくつものバス停が並んでいる 阿武隈高原 一つ一つの場所では トンボがとまったり ススキが揺れたり 風が吹いたり バスはいちいち 停車して ドアを開けて 待っているのだ きみの悲しみが 降りていくのを
バスに乗っている 黄金色の田園が 大きな窓から 次から次から 乗り込んでくる 座席は 秋の実りと 色彩でいっぱいです みな 目を閉じて 歌いたいのです ケセラセラ なるようになるさ
詩ト詩ト バスニ乗ッテ
バスに乗って しだいにバスは 急ぎ足になるのでしょう バス停へ やがて 一人一人 降りていくのでしょう いくつもの停車場にて そしてわたしも 降りることにします 生きていくことが 悲しいから ああ 新しい バス停だ 誰かが乗った 涙が止まらないのだ
誰しもがいつもバスに乗りおくれている
バスに乗っている わたしたち もう 二度と会うことのない 他人どうし さようなら ごめん お元気で 前を見ているか 眠っているか ケータイをいじっているか 目を合わせることも 出来ないけれど 不思議な親しみを 想います そのような 優しい さびしい バスが走る 黄金の高原
バスに乗りながら これから長い道のりだ 親しい道を通り抜けて わたしと いく人かの乗客を 揺らしながら 信号で止まり 渋滞で止まり 猫が首をかしげるから また止まり しばらく みんなで あれこれと 秋の空を眺めて 考え込む また出かけていく
詩ト詩ト バスニ乗ッテ イワキヘ
バスに乗りながら これから長い道のりだ 見慣れた路地を通り抜けて ゆっくりと長い車は 海沿いの街へと向かう 波打ち際が もう後ろの座席に 座っている
旗のあがる姿を 見つめていたことがある はためく 空に消える それよりも グランドの 土の上で 揺れる影こそが 幼い記憶に
石を投げれば 必ず投げ返される たとえ石を投げなくても 石を持っていれば 石を投げられる